ここでは本職の大工さんから当時教わった床造作においての指示やアドバイスを当方なりにまとめた内容となります。
床モデル
階層 | 部材 |
1層 | フローリング厚み(寸法は貼る部材による) |
2層 | 12mm合板(針葉樹合板等) |
3層 | 根太 |
4層 | 根太受け、大引 |
5層 | 鋼製束L型 ※床下が地面な場合 |
6層 | コンクリートブロック、または基礎専用のコンクリート等 ※当該から上を支える地面は水で土を固めて硬くしたり周辺にコンクリートを流し込んで 「現状より一切沈まないように」する |
はじめに
概要
本行為で最も重要なのは
- 強度の確保
- 正確なレベル測定
骨子
部屋単位の大きな寸法から手順を踏んでいく事で小さな微調整にシフトしていく。
注意点
正確にかつ確実なビス打ちが要求される
床の鳴きに繋がるのは部材同士の擦れであり
- 部材同士はボンドで挟む事
- 部材同士3mm程度間隔を空ける
- 大引は隙間なくツラまでの長さ
パーツ毎方法は異なるがこれで多くの鳴きは防げる
墨出し
概要
レーザー墨出し器にて水平を出す。
※部屋の中心にて適度な高さ(レーザーがきちんと表示される位置)にレーザー墨出し器を設置し照射する。
レーザー墨出し器によるレベルの墨付け
予め床の仕上がり高さを決め逆算で高さ位置を定義 出した墨より逆算で求めた位置まで(基本的には下げ)で四隅および柱、大引が入る箇所に(910mm間隔になるはず)芯芯(墨の中央がターゲットに位置という意)で鉛筆を使用し墨出し。
根太受け1層目貼り
概要
大引(90×90 4m檜)が入る(予定の)通りと平行になる2辺壁下に胴縁となるホワイトウッド(90×27 3m)1層目を張る。
詳細手順
- 材料裏面にボンドを波状に塗布
- 両端30mm〜40mm隙間を取り上部の墨に合わせて貼り付け、90mmビスを303mm間隔で打ち込む
- 作業が完了したら当該部分は2層目貼り付け前にボンドの乾燥、定着を促すため一晩置いておく
ビス順序
中心→両端(端から40mm程度の箇所)→その間の順で鉛筆で墨を付け正確に打っていく。
打ち方は基本的には材料に対して直角だが墨から万が一ミリ単位でずれた場合墨に合わせるように上下斜め止めも効果的である。
但し技量を伴うため大きくずれたり難しいと判断したらビスを抜きやり直す事。
重要点
この時、気をつける点は墨に対して忠実に合わせる事。
ビスと部材のジョイント部分が既存梁等に完全に接触している位置にビスを入れる事
なお、ビスの本数が強度に大きな影響をもたらすこと留意すべし。
大引取付
概要
90mm x 90mm角 4m長 檜を中(なか)910mm間隔で大引として取り付ける。
ジョイントはL形金物を介して行う。 土台ブロックに鋼製束を載せ大引にビス留め
注意点
大引の向きは年輪を見てやや上側に逆アーチする方を床面とする。
なお、本逆アーチは後述する鋼製束L型で水糸を張りジャッキアップし修正し水平に調整する。
金物にビスを打ち込みすぎて折らないよう注意する。
補足情報
梁に凹状のくぼみをあけ大引に凸状な加工を施すのがジョイントの理想だがリスクが大きいためL形金物を左右に付けジョイントとする。
大引の墨付け
先ず芯芯で墨付け
大引は910mm間隔で通りを守り取り付ける。
部屋の通りにある柱が基本的に910mm間隔で入っているのでそれに準じ墨付け。
部分的に例外が発生したら横から910mmで墨付け。
部材の両橋を芯から45mm振って墨付けする。
材料カット
端は切断し綺麗にして鳴きが出ないようにきっちり寸法を計測しカット
なお部材が大きいためスライド丸ノコは使用出来ない。
丸ノコで行う必要がある。
大引仮止め
切断が完了した大引を90mmビスで梁と直角に取り付ける。
ビスは側面(左右)に1本ずつ斜め止め。
1本のみ2本以上は留めず残りは金物越しに取り付ける。
なお、ビス頭はツラから出さない。
金物越しにビス止め
金物越しは1カ所につき8本、全ての大引にビスを打つ。
ブロック設置
ブロックを半分以上土をよく転圧して埋める
鋼製束設置
上下のねじ切りを均等にしておく。
仕様
上下のナットは高さが決まった後固定するためのもので下部の土台を回すと高さが変わる仕組み。
ブロック1カ所に対して1本ビスを側面、底面に(穴があるので)打つ
大引と鋼製束は接地面は0mm(即ち完全に付ける
この鋼製束には受け止め面とビス穴に樹脂が挟まるように出来ていて鳴きの防止になっている。
床面の場合は工具が入らないのでL形の特殊ビットがないと打ち込みは厳しい。
水平チェック
大引は必ずしも真っ直ぐではない製品加工時に誤差があったり木材の場所によっては膨張・収縮で歪んだり、取り付けた位置やその他条件によって後天的に歪んだりしているかも知れない。
ここではこれをチェックし場合によっては修正する。
釘を大引両端に斜め仮留め、水糸を張りテンションをしっかり付ける。
糸を弾いて水平をチェック、この時歪んでる場合は鋼製束をジャッキアップして水平を得る。
正確に真っ直ぐになったら水糸を外す。
鋼製束ボンド付け
既にビス留めされ位置が確定しているので一旦回して短くしボンドを塗布し回して元の位置に戻す。
なお最終的に微調整が効くので鋼製束を締めるのは後となる。
根太取付
概要
45mm x 45mm角 3m長 の垂木(根太)を大引と直角に303mm間隔取り付ける。
注意点
墨の位置や採寸には正確さを欠いてはならない。
根太設置場所への墨付け
端から1818mm走り芯に墨付け(Z)左に22.5mm戻り墨付け。
※これが垂木(根太)の左側、墨に右側に矢印を付ける
これで左で位置を合わせながら右手でビスを打てる。
戻った22.5mmから303mmずつ戻って墨付け端まで戻れたら芯に行き、同じように墨付けに進む なお墨付け部材が収まる場所毎に番号を振っておく
根太毎の寸法を測る
鳴き防止のため両端3mm〜4mmを開け採寸。
番号と対応させ複数本採寸。
材料カット
両端は破損していたりするので使用せずカットこの時節が近くにあれば強度に影響するので含めてカットするのが望ましい。
なお必要な長さが担保できない場合はこの限りではないが、端は極力カットする。