築50年の一戸建てをDIYでリフォーム中で、現在1階のリビング内装に着手中です。
このリビングには後付けで筋交いを切って壁の耐力落としてまで窓が付けられていました。
付けられた窓は生活上便利だったともいえず耐力が落ちた壁は(他の要因もありますが)地震でバキバキに割れてしまっていました。

耐力が落ちた壁をこのまま放置できなかったので、窓を埋め筋交いを復活・追加、壁の耐力を向上させ、周辺の補強も行い耐震性を向上させました。
今回は耐力が向上した壁へ空気層を挟んで2種類の断熱材を入れる事ができる壁下地を作っていきます。
今回の施工場所
ここが今回断熱材を入れる事を考えている場所です。

で、断熱材は「どのような種類」を「どのくらいの量」入れるのか?なんですが
以前施工した壁の断熱材仕様
以前、隣接する壁に入れた断熱材の種類と構成は、防音重視でテストも兼ねて
「袋入りロックウール」と「ロックウールボード(買ったけど現時点では未だ入れてない)」という2種のロックウールを空気層を挟んで筋交いをかわしながら入れる仕様にしました。

これがその断面図


同じ仕様ではダメなのか?
同じ部屋で隣接する壁なら同じ仕様にしたい所ですが出来そうにありません、理由は…
理由1:壁の下地構成が違う
先ず、組んだ壁下地の構成が違います。
違う理由は建物の傾き方向が関係しています。
写真左は壁(柱)が内側へ倒れているので下地厚に余裕がある事で耐震性を考慮、45mm角の間柱を格子状に組んでいます。
右は壁(柱)が外側へ倒れているので下地厚に余裕があまり無い事もあり105x27mmの間柱を筋交いを通す穴を空けて立て、最後に横胴縁で仕上げる予定です。

全部同じにした方が良かったのかもしれませんが
- 建物(柱)の傾きによって各々必要となる壁厚に合わせ壁下地を構成する
- 施工のし易さだけで部屋の面積を犠牲にしない
- 構造上弱いと判断した箇所は強めの下地を入れる
- 材料を無駄にしない
というような事を考慮して壁を作るとこうなりました。
つまり、「建物の傾きを無駄にせず活用したら壁の下地構成が各々変わった」という事です。
言い方を変えれば、「壁を吹かす必要があったか否か」という事です。
この下地構成の違いは、断熱材の構成を決定的に変えざるを得ないという程ではありませんが断熱材の入れ易さには影響しそうです。
理由2:外壁下地からタッカー(ステープル)の針が飛び出ている
主たる問題はこれ。
袋入りのロックウールを入れる環境についてです。

外壁のモルタルを支持しているタッカーの針が内側へ(貫通)飛び出ていて、袋入りロックウールが接触すると袋が破れてしまいます。

タッカーの針は以前施工した壁では問題にならなかったのか
以前施工した隣接壁にもタッカーの針は飛び出ていましたが
- 施工面積が狭い
- 壁面積の3~4割は新しいバラ板でタッカーの針をギリギリ飛び出さないサイズで施工した
- 既存のタッカーの針は曲げてなるべく破れないようにした
というような事で何とか詰める事ができました。

が、それでも一部が狭いせいもあり袋を破いてしまい、やり直しました。

スタイロフォームにする
今回の壁は面積が以前と比べて3倍ありタッカーの針を全部曲げるのは不毛かつ無理過ぎる故
袋入りロックウールを外壁下地に接触させるのはNGだと判断。

防音性能は落ちるし、そもそも壁毎に構成が変わるのもどうかとは思いますが施工面積が広く外壁下地と筋交いとの空間が以前と比べて空いている事から押し出しポリスチレンフォーム(スタイロフォーム)が適していると考えました。
今回施工する壁の断熱材仕様
と、いう訳で以下のような断熱材の構成にしました。
主な違いは外壁下地に接する面にスタイロフォームを使う事です。
これで、外壁側はタッカーが飛び出ていようとスタイロフォームが守ってくれます。
また、断熱に空気層が非常に重要なようで、2種類の断熱材の間には15mm以上の空気層を設けて熱伝導を極力抑える設計。
施工の際にタッカーの針で怪我をすることも少ないかと。

なお、空気層が15~30mmとなっているのは建物(柱)の傾きが影響していて最低でも15mmの空気層を確保する構成で考えました。
外壁側へスタイロフォームを詰める
外壁下地に接する場所へスタイロフォームを詰めていきます。
先に入り組んだ場所へ詰める
なるべく断熱欠損無しを心がけます。
後で詰める事ができない筋交いの裏等へスタイロフォーム予めを滑り込ませ

細かい場所へ詰める
保管していたゴミ端材も使って細い場所にも先にスタイロフォームを詰めておきます。

こんな細い所も隙間はなるべく埋めていきます。

出窓の天井に断熱材を敷く
出窓の天井部分(庇屋根)の断熱には袋入りロックウールを敷いておきます。

ちなみにこのロックウール、上で書いた袋がボロボロなったヤツを補修して入れました。
空気層と2種の断熱材を納められる下地を作る
30mm厚のスタイロフォームと障害物を避けながら室内の壁面から50mmの断熱材を詰め、間のスペース15~30mmの潰れない空気層を確保できるように作っていきます。
ここには水道管もありますのでサドルバンドで留めていきます。

30mm厚のスタイロフォームを詰めていく
外壁下地にスタイロフォームを詰め込んでいきます。

ハイ。

完了。

空気層を設けて上へロックウールを詰められるようにする
間柱を補強しつつ上からロックウールを入れても空気層が潰れないように間柱補強兼スペーサー材で下地を作ります。
ただ、外へ壁(柱)が倒れているので今回垂直に立てた間柱との間には下に比べて上の方が空気層が多く空いてしまいます。

もう少し詳しく
どういう事かというと、建物(壁)が外へ傾いている環境下で間柱を垂直立てているので、上へ行くほど隙間(空気層)が広く最大で約30mm、下へ行く程最小で約15mmと狭くなっていきます。

【上部】隙間の多い間柱補強&スペーサー
これの隙間を不格好ではありますが、上は室内の壁面から入る断熱材(ロックウールボード)の厚み50mmになる位置までスペーサーを積んで調整します。

【下部】隙間の少ない間柱補強&スペーサー
こちらは隙間がないので筋交いとほぼ同一線上に間柱補強兼スペーサー材を筋交いへくっつけて留めます。

そんな装備で(強すぎ)大丈夫か?特に下部
建物が揺れて筋交いが動いた場合、「てこの原理」でくっついている面が筋交いを押す気もするんですが…

補強のが強すぎて筋交い負けないか?
古(いにしえ)からの工法?なので大丈夫ではないか
我が家の既存筋交いと間柱(約30mm角)はこの方法で付いていましたので寸法は違う事が若干気にはなりますが入れ方は同じなので「た…多分、大丈夫なのだろう…(ホントかよ)」という、は…判断です。

なるべく古の工法を踏襲
筋交いと接触する部分を留める際は旧間柱と同様に釘を用いました。
もし、動いてもビスより破断の可能性が低いかと。

本当に大丈夫かよ…
いや、大丈夫に違いない(汗)。
スタイロフォーム&空気層&ロックウール用下地完了
スタイロフォーム入れて空気層確保と次に入れるロックウールのエリア確保完了です。

これがスタイロフォームに続いて入れる50mm厚のロックウールと空気層の基本構造です。

ビフォーアフターはこんな感じです。

次回は既存の出窓を撤去して新しい窓を一から作ります。