リビングの床を解体すると既存の無筋布基礎に割れ発見、無視するのもアレなんで仕方なく基礎の補強を開始、既存基礎へ「あと施工アンカー」で鉄筋を挿し込んで接着、コンクリートを打設して基礎をダブルにしました。
今回はこの内側へ増し打ち補強したツイン基礎へ高さ150mmの土台を載せていきます。
リビングの現況と家全体の基礎補強について
これが現在のリビングです。
既存基礎へ内側から新規基礎を抱かせる形で補強しました。
家全体の基礎補強状況
結果的に家の半分くらいの基礎を補強してしまいました。
今考えるともっと効率的に効果が出せたと思いますが経験も無い当方がその時その時精一杯やったのでコレがベストです。
何故150mm高の土台なのか?
土台の高さを揃えるだけなら周りの土台と同じ高さに合わせ基礎を増し打ち土台を載せればい話ですが、このエリアの一部は地盤沈下で下がっており、しかも何故か土台が下に湾曲してそれに伴って基礎も湾曲しています。
土台の上にかさ増しされたスペーサーが有る事から土台と基礎湾曲が建築時からのものなのが分かります。
意図は不明ですが、最初から曲がった土台を基礎へ沿わせて使ったようです。
写真がこれしか無く分かりずらいですが、もっと引いて見るとこの部分は肉眼で見ても分かる程あからさまに湾曲しています。
分かりやすいように誇張していますが図にすると以下のようになっています。
土台が途中から他より20mm程湾曲し下がって基礎も同様に湾曲、此処が地盤沈下も手伝って徐々に下がり端部は既存の土台が最も低くなっている場所です。
既存土台へ抱かせ添える面が一定の面積確保出来ないとコーチボルトで安定して一体化出来ず、ただ単に新しい基礎の上に土台っぽいものが置かれるだけになってしまいます。
そこで土台の高さを周りに合わせつつ既存の土台へ抱かせ添えるには高さ150mmの土台が必要だったということです。
土台の収まりを特定
先ず、既存土台へ新規土台両端を掛ける短手から入れていきたいと思います。
収める位置、既存土台との取り合い、アンカーボルト穴等の位置を特定していきます。
基礎高の詳細を確認
基礎天端の高さは全体的には想定通りになっていましたが、コンクリートの起伏やバリの影響もありますし部材が載ったとき本当に高さが正しいのかを確認するため基礎パッキンと土台と同じ寸法150x105mmの端材を置いて基礎天端に細かい問題が無いかチェックしました。
ちなみに外壁下地が一部新しくなっていますが以前外壁が割れ下地と共に外から補修・補強したときのものです。
結果、材料自体の誤差もあるとは思いますが一部にプラス0.5mm〜最大1mmの起伏を確認しました。
やはりミリ単位での基礎作成は難しい、でも素人的には上出来かと自分を慰めつつ
これは土台設置時どの位影響するのだろうか・・・この時点ではちょっと分かりませんが基礎高がマイナス(低く)にはなっていないので最悪表面を削るだけで済むと思います。
土台の位置を特定
既存土台から105mm幅の位置に水糸を張って基礎の収まり位置を特定しアンカーボルトの位置も測れるようにしました。
なお、既存の土台に抱かせ添える形で新規土台を設置しますので既存土台と新規土台の隙間は理論的にはゼロです。
既存土台との接合を考える
既存土台に添え抱かせ新規土台を取り付けますが接合方法はどうするか?
仕口掘って蟻にするか?、大入れにするか?、大入れ蟻掛けは既存土台へ掘るの大変そうだけど標準的な信頼度はありそうです。
接合方法は現時点で未定、状態を見て判断したいと思います。
既存土台は左右で5mm程高さに違いがあり、80〜85mm既存土台より高い位置が新規土台の天端になります。
【雑1】収まり図
既存土台へ抱かせ添える土台の位置と仕口をスケッチしてみました。
左上、右上は蟻掛けか、大入れ蟻掛けならこんな感じでしょうか。
ちなみに左下の接合は時すでに遅し、イモになります。
でもこれだと蟻口オスが既存土台と高低差分80〜85mm出っ張る事になってしまう。
【雑2】仕口はこんなのが適してないか?
ニーズから考えると下が蟻さんで、上が大入れの仕口が浮かびました。
こんなの見た事無いけどこれなら既存土台とは引っ張られても抜けないし、天端はフラットにして柱とコーナー金物を付けられる。
イメージイラストにするとこんな感じです。
大入れと蟻の変則?
これは当方の技術でギリギリ出来そうな気がしますが仕上がりは悪そうです。
特に蟻口の根元部分なんかはノコが入らず、マルチツールでもない限り綺麗に切れるとは到底思えません。
大変過ぎるので妥協案
オスの変則蟻も難易度高いですが、既存土台の方はメスの蟻を掘ろうとすると経年で硬かったり弱かったりして掘りにくいし無駄に時間も掛かりそう・・・最悪割れるかも。
それにここは両端に既存土台があり内側に抱かせる訳なので接合部の引張力は最優先にしなくても良いように思いますので蟻口を省略する事にしました。
要するに「大入れ」ですね。
既存土台は15mm程掘って新規土台を大入れで被せて可能な限り延長、上からコーチボルトで留めます。
仕口を掘るためのノミを砥ぐ
もう仕口なんか掘らないと思ってたのにまた掘る事になってしまったので家で砥ぎ直しました。
刃が欠けていたので右の荒砥で刃を付け直し左の中砥で砥ぎ仕上げとしました。
このノミは知人からの譲渡品で何度か研ぎ直してます。
当方、和包丁の研ぎ経験があり最初は柳包丁のように真っ直ぐ刃を砥いでいたんですが使用に際して刃の欠けが激しく刃先を少しだけ丸めて砥ぐようにしました。
本物の大工さんの砥ぎ方は知りませんが包丁の砥ぎ方も人それぞれなのでこれで良いかと思います。
うーん・・・肉眼だと綺麗に見えたけど写真では研ぎムラが目立ちます。
が、これで少し耐久性が上がる筈。
ちなみにコレが我が家の8寸柳包丁です。
今撮った写真見たらミネに錆びが結構ある・・・
又今度磨きます。
土台(1本目)を加工
新規土台の寸法が出せたので加工していきます。
アンカーボルト穴
先ず長さを測って切断、アンカーボルト位置に穴を空けていきます。
真っ直ぐ・・・真っ直ぐに・・・。
アンカーボルトの穴が空いたのではめ込んでみます。
これで切り欠く両側の位置を実際に特定して
既存土台を掘る
両側にある既存土台に新規土台をはめ込む切り欠きを掘ります。
新規土台もカットします。
新規土台(1本目)を設置する
加工が出来たので新規土台を入れていきます。
左右の切り欠きは既存土台を深さ15mm堀り、新規土台は左95mm、右90mmの高さでカットです。
めでたく入りました。
程よい硬さでコンコンして入っていきましたので悪くないと思います。
新規土台の収まりチェック
既存土台との隙間もほぼゼロ、高さも良好です。
これでアンカーボルト締めるとどうなるかですが大丈夫ではないかと。
大入れ蟻掛けを掘る
新規土台どうしは大入れ蟻掛けで接合しますのでオス・メス掘っていきます。
仕口掘るため新規土台2本目の位置も水糸で特定です。
以前造った基礎との段差が既存土台の沈みの関係で45mmありますのでこの部分要加工です。
大入れ蟻掛けオス
新規土台長手の2本目先端にオスを掘ります。
なお、大入れ蟻掛けですが蟻部分は高さ90mm深さ24mm、大入れ部分の高さは60mm深さ10mmです。
大入れ蟻掛けメス
先程作った短手の新規土台を一旦外して大入れ蟻掛けのメス口を掘ります。
ちょっと雑ですねぇ・・・
大入れ蟻掛けオス・メス合体
基礎から外した状態で一旦フィッティングしてみます。
少し長さが残ってるのでオスのやり直しは利きますがこんなモンではないでしょうか。
土台(2本目)を加工
大入れ蟻掛けの仕口が掘れたので長手になる1本目に直交する2本目を設置していきたいと思います。
アンカーボルト穴
簡易的なドリルガイドあったの忘れてました。
径が4〜12mmまでしか無いヤツなんで6mmとか使って垂直だけ取っておきます。
んで14.5mm径で穴を空けて、長さに切って
道具や端材だらけ汚ったない
新規土台(2本目)を設置する
アンカーボルト穴の状態を確認するため一旦入れてみます。
悪くはないっぽいです。
ちなみにこんな事DIYでやろうとする方は殆ど居ないと思いますが、基礎へ土台をはめ込むとき土台の下に絶対に手を入れてはいけません。
絶対にです。
土台を最初に入れる時や手を入れないといけない場合は写真のように手が挟まらないように大きめの材料を入れて作業されるのがよろしいかと存じます。
当方やっちまった事はありませんが危なかった事はありました。
どう考えてもこれヤバいんで!!
仕口もちゃんと入りました。
土台を完全に加工
大丈夫そうなので既存基礎との取り合い部分をカットして設置してみます。
仕口も概ね高さ合ってます。
それらしくなってます。
新規土台の状態チェック
経験上、寸法通り加工しても何らかの影響を受けてズレたりして正確に収まるとは限らないので現状の収まりをチェックします。
その後そのままでイケるのか、微調整が必要なのか、もし調整不可なら妥協出来るラインなのかを確認したいと思います。
土台の水平と反り
先ず高さ、アンカーボルトを締めると僅かに沈む傾向にありますのでそれを踏まえて水平レーザーで確認です。
以前測った時と変わらず僅か0.5〜1mm程高い所があるようですが材料の反りもあって
片方叩き込むと片方が浮くというような感じで両端の反りで最大5mm弱の差がありました。
これはアンカーボルトを締めると反りは殆ど無くなる・・・のではないかと。
多分大丈夫な範囲ではないかと判断しました。
添えた土台の転び
既存土台へ添えた新規土台がどの位水平に入っているかチェックします。
2本共僅かに内側へ傾いていました。
これはアンカーボルトを締めると解消される・・・かも。
もし、解消されなくても誤差で妥協できる範囲かと。
一旦作業完了
新規添え土台の設置精度は概ね大丈夫ではないかと判断しましたので本作業を一旦停止、壁の筋交に戻ります。
次回は既存梁の欠損が理由で入れる事が出来なかった筋交を入れるための作業をします。