【ダイニングキッチン】壁下地・天井下地造作#4 真壁から大壁へ 切られた筋交の話

土壁の真壁を大壁にするための壁下地 壁下地造作

このダイニングキッチンに問題があったのは事実ですが色々拘ったというのもあって、とても時間と費用が掛かりました。

床を解体したら基礎が割れていてコンクリート増し打ちで補強、土台も添えて全方位補強、基礎の無かったキッチンエリア下に基礎追加、間取りが変わった事もあって梁補強に柱補強、床は90mmの根太と断熱材入れて天井と壁(一部防音対策あり)の下地ベースまで漕ぎ着けました。

現在の状態です。

前回ここの作業では間柱を立てたままで止まっていたのを再開します。

【ダイニングキッチン】壁下地・天井下地造作#3 真壁から大壁へ 土壁を掘って間柱を埋める
築50年の一戸建てをDIYでリフォームしています。現在はダイニングキッチンの内装をやっていて天井下地・床下地と組んで、現在壁下地を作製中です。我が家は元々土壁なのでこの上から大壁にするための下地を組んでいきます。

横へ下地を差し込む

壁の縦910mmピッチで水糸を部屋の端から端まで横に張り、土壁に間柱から40x15mmの胴縁が入る溝を掘って

家の傾きを利用して一番広い所から目的の位置へ柱との間へぴったり寸法の胴縁を差し込みます。

何故予めやっておかないのか?

ホントそうです、やっときゃよかった。
ダイニングキッチンの内装は、天井→壁→床の順でやりました。
天井下地組みの後、間柱を立てるタイミングで予め入れればよかったんですがそのときは未だ床が載っていなくて床高の位置は計算で出るのですが面倒だったのと確固たる壁下地のイメージがあったわけでもなくまた、実際に出来ていない物を信じられるほど自分を信じる事が出来ず今になりました。

着手したらソコは決めていきたいけど周りとの取り合いもあるし完成イメージを考え落ちなしで描くのは変更も出るし難しいです。

間柱裏へ胴縁入れる

柱と柱の間へ横に間柱の裏側へ胴縁を渡しビス留めします。
こうやって間柱の裏へ胴縁を入れると下地の強度が高くなって平滑な面を出しやすくなります。


間柱の裏側へ胴縁を留める事が出来ました。

胴縁に胴つなぎを重ねる

胴縁の上へ胴つなぎを重ね留めします。
繋ぎ目を感じないくらいのツルツル感が気持ち良くって触るのクセになります。

傾いた柱を渡す胴つなぎは柱の形に要加工です。

無事910mmピッチで柱へ繋がった太い胴つなぎを組む事が出来ました。
これさえちゃんと組めば後はイモ繋ぎでも大丈夫じゃないかと・・・多分。

ちなみに石膏ボードのジョイントになる床面から1820mm地点(正確には捨て貼りから石膏ボードを5mm空かして1825mm)には60mmの胴つなぎを入れて他は40mmです。

筋交が切られていたキッチンの壁

ここはキッチン台が入る壁ですが現在はこのような状態になっております。

以前のキッチン壁

元々は土壁のキッチンで以前のリフォームで合板+タイル貼りになってました。
キッチン台を撤去したらキッチン台の形に合板が露出しています。

建築当初のキッチン壁

ピンクのタイルと合板を撤去すると土壁があらわに、あー昔こんなだったわ。
あれ?換気扇廻りには土壁がないぞ?

切られた筋交の詳細

換気扇を付けるため筋交が切られて貫も切断、難燃性っぽい紙?が詰めてありました。
何だコレ・・・
昔のフードの形状が詳しく思い出せませんが以前のリフォームで新しくなったものの換気扇は昔からここにありました。
つまり換気扇の周囲に下地が追加されているものの筋交が切られたのは建築直後だと考えるのが妥当かと。

筋交の全容

土壁を全撤去すると筋交の状態が判明。
我が家の1間(910mm)に入っている筋交は大体この「くの字筋交」です。
今の建築常識ではあまり良くない筋交らしいです。

この古のくの字筋交は途中で切られて殆ど役目を果たさないような状態でした。

外壁が割れている

この写真は外壁補修前に撮ったものです。
外から見ると三又にクラックが入っていて、上に伸びているのは柱に沿って、横に入っているのは筋交が切れている所からのようです。

今見ると此処のクラックの理由が物凄く理解できました。

ここは切ってもいいと判断されたか?

幸いというかこの下には当時基礎が無く揺れを逃す構造でしたので被害は軽度だったと思われます。

そういう意味でいうと筋交を切っても被害が少ないとの見積だったのでしょうか。
深読みし過ぎ?

現在は基礎を追加したのでこの限りではなくなっています。

【庭】基礎が無い場所へ新規で基礎追加・土間打も打つ
我が家の外回りには基礎が無い箇所があり一部建物が宙に浮いています。浮いている部分の桁に亀裂が入っておりこれはマズイという事で基礎を新規で打つ事にしました。

こっちの筋交は切られた末大変な事に

同じように筋交が切られているエリアがあります。
時系列が違いこちらは以前のリフォームで筋交を切ってフィックス窓が付けられた末、地震と雨水で外壁も構造体も一番酷いダメージを受けていた場所です。
フィックス窓というのは開け閉め機能のない彩光のみの窓の事です。

室内側は窓の周囲をパテで固めて仕舞われています。

何故わざわざ窓を筋交に被せた?

以下の写真は外壁の補修とフィックス窓を撤去して壁を埋める作業中のものです。
くの字筋交の下の部分を切られており、おそらくここの大ダメージの原因はこの筋交の切断だと思います。

ここは建物構造上の角で下には基礎があり、2階はベランダですが地震の揺れはダイレクトに建物に伝わる筈です。
「窓を付ける依頼をこなした。構造体を切るなとは言われてない」ということでしょうか?

【1階寝室】はじめての柱補強
最も被害の大きな外壁の補修に着手したところ外壁にとどまらず下地、更には構造体にまで影響を及ぼしていました。構造体はこのままではいけないと考えはじめて補強をしてみる事にしました。

こういうの窓付けるにしても筋交を避けて開口するとか、解体したから分かりますが、この窓のサイズはW345xH795mmで筋交を切らずとも入れられた筈です。
でもそれをしなかったのは何故だ?

こんな事をするために切ったのか?

窓の入っていた下地を細かく見てみると

上部角の下地が筋交に釘打ちされています。
筋交は動くものであまり付けない方がいいらしいですが、まぁ筋交切ってないしフィックス窓だしアリではないかと。

下部下地の角は切断された筋交へ乗っています。
これで弱いながらもあった筋交の強度が失われました。

外壁側から見たフィックス窓の下地です。
筋交を切った理由は下地構成から見つける事は出来ませんでした。
なお、窓枠の上部に付いている間柱は今回当方が付けたもので元からあったものではありません。

マジで窓の下地を組むのが面倒だったから筋交を利用したのか?
こんな窓付ける為だけに?まさか・・・
ちょっと信じられない。

図面に起こして検証

この記事書いててフィックス窓が本当に筋交を切らず入るのか確かめて見たくなってシュミレーションしてみました。

フィックス窓取付前

この壁を写真から図面に起こすとこのようになります。
縮尺は概ね正確です。
先ずフィックス窓を取り付ける前の状態です。

リフォームでやられた筋交切断を再現

これにくの字の下側にある筋交を切って付けるとこのような下地構成に。

筋交切らずとも窓は入る

筋交をかわして間柱と柱へ下地を組めば周囲に余白もあるし綺麗に収まりました。
やはりわざわざ筋交を切る必要がありません。
中央の間柱を切って寄せればもっと自由度が上がります。

周りのサッシと高さを合わせるため?

フィックス窓と掃き出し窓の高さを合わせるために筋交を切ったのか?

いや、高さは調整可能な範囲です。

窓を柱と柱中心に入れようとした?

この部屋の船底天井解体中の写真ですが、真壁なので柱は露出、この1間の中心に窓を入れようと?

この線が濃い。

結論:見た目重視

あくまで推測ですが、構造耐力を落としてでも見た目の収まりを重視したのではないかと思われます。

これ、縦横の位置が点で決められるので楽です。
位置が出たらガス管でもない限り開口、周りの構造物を全て切断してそれなりに取り付ける。
フィックス窓なので開け閉めを考慮する必要もなし。

しかし窓が壁の中央にあった方が見た目は良いですがそのために筋交を切ってしまうとは・・・楽ですが施主に親切とは言えないやり方ですね。
家の構造耐力落としてまで開かない窓付けたい人そんなにいますかね?

この件についてのリスクは親から一度も聞いた事ありませんので説明は受けてないと思われます。
こんな換気もできない窓のために外壁は割れ落ち、柱も下地もボロボロになって割に合わない窓でした。

作り手 VS 発注者

ここでちょっとものづくりの話、お題は「作り手と発注者」。
当方今まで商売人・エンジニア・営業といった職業を経験してきました。

立場が違う例を挙げるとエンジニアと営業、作成者と販売者、施工者と施主。
物を作る側と作ってもらう側で、言うこと感じることが変わったりします。

作り手について

作り手とは物を作って自分、並びに対象者へ提供する側。
才能、センス、努力、日々の研鑽、ゼロから何かを産み出す苦しみや既存の技術を組み合わせて作る小さな物から大きな物まで。
出来上がるプロセスや出来上がった達成感、喜んでいる顧客を見る事でモチベーションや喜びを感じるとかでしょうか。

なので当方が発注者になる場合作り手の立場が長かった事から職人さんには敬意を持って接しているつもりです。

作り手あるある

仕組みを理解しない発注者が作り手に好き放題言うとかモノづくりあるあるです。
夢とか自分語りして散々陶酔して喋った挙句あとは察しろ的な態度とかもう2度と会いたく無くないですか?
自称アイデアマンが2番煎じ3番煎じのネタを自分が考えたっていう雰囲気で悦に浸って話されたとき寒気しませんか?もしかしてナメられてる?
悪魔の証明させるヤツとか値段4倍くらい欲しくないですか?
完成したら必ず自分の酷いギミック突っ込ませて全体を台無しにするヤツいませんか?
そういうヤツは邪魔しかしてないのに何故か手柄全部横取りしようとしませんか?
屈辱すぎてもうコイツにはゴミしか渡さないって誓った事ないですか?

本当の事を分かってもらうのは意外と難しい

今回構造耐力を落として施主のニーズに応える施工がされていました。
この結果二次被害を誘発させています。

この筋交を切った方、望ましい工事をしたとは思っていないでしょう。
でも、「ここに窓を付けると構造耐力が低下するのでおすすめしません」と施主に言うとします。
エンジニア経験の立場から何も分かってない施主の反応を想像すると

  • えーしてくれないの?
  • こっちは客だよ?
  • なんだできないの?
  • それをやるのがオマエの仕事だろ

とか言われたりして、家のためを思って進言しても時には無能認定だってされかねないのでは?などと思います。

出来るけどそのためには⚪︎⚪︎しないといけませんのでコストがかかります。
とか、解決法を提示すると

えーそんなのちゃちゃっとやってよ同じ値段で。簡単なんでしょ?

とか言われたり

モンスタークライアント

世の中には自分の希望が無条件に叶わないと憤慨する輩が居ますしそこまでいかなくても

  • 中身も分からず好き勝手言う
  • マウント取る目的の知ったかぶり
  • 金を出す客がエラいんだとかいう横柄な態度

というような方がおられます。

わからないのに好き勝手言う

希望を言うのは自由・タダ・言わなきゃ損とかいう気持ちでもあるのか、ただ単に無知なのかわかりませんがそりゃ専門家じゃないんで(だから依頼している)でも話の内容を敢えて理解しないのか話し合いで理解して貰うのが難しいケース
こっちが意識してオーバートークする事でようやく少し理解して貰う事ができたり。
謎の自己万能感で(分かってないのに)分かってると思ってたり。
そしてどんどんズレた解釈されて余計な軋轢生んだりする。
「望めよ!!さすれば与えられん!!」的な感じで思ってます?

マウント目的の知ったかぶり

取引の常套手段としてなのか主導権を断固として渡さない・劣勢な立場への恐れ?なのか主導権に固執「自分はこの件に付いて知識がある、何ならやった事あるので君と同じかそれ以上だ」というような態度。
こんなの話しててすぐ分かるんですよ、「知ったかしてる」って。
それとなく相手の間違えを補完しても自身の能力向上を望んでいる訳では無く駆け引き目的なので気づきもしない(認めると立場が悪くなるから気付かないフリ?)。
とても話を進めるのが大変で知ってる体なので細かく説明するのも憚られ、いつまでも主導権を渡さない。
別にこちらに主導権が欲しい訳ではなくコミュニケーションの能率がすこぶる悪い。
情報共有できない共通認識も取れない、取りずらい。
ハッタリで騙せてるでも思ってるんでしょうか?それともマジで思ってる?
自分が風上に居続けるということは相手をずっと風下に居させるという事だとご存知か?
何なの?大きな包容力で包んで欲しいの?ツンデレなの?
いやもうしんどいんですよこういう茶番。

金出すんだから何でも従え

「金を出すのはこっち、希望を言うのは当たり前、そのために払ってる」。
その通り、マジ正論!!
でも、この正論が強化され最大限まで活用しようと躍起になったり相手の事を奴隷のように使うの当たり前、金払ってるんだからと思ってたり。
こちらがソレに答えてしまうと慣れてどんどんハードルを上げてくる。
常に人を信用してないので「サボってる」「もっと出来るのにやってない」と邪推したり。
そうすると相場感がおかしくなるのか支払うお金が惜しくなるのか「もっとやれ、もっとやれ、じゃないと損」あれもこれも関連しているだからと日頃から境界をきっちり分けないと全てサポートするのが当然と言わんばかりの仕事量。
余計な仕事を回避するための仕事が発生するという矛盾。
陛下は低コストで動く高性能マシーンをお望みな模様。
もうね無茶苦茶仕事多いんですが、価格全然合わないですが?

もうね、こういう輩からの依頼は断ればいいと思うんですよ。
でも着手中なら厳しいですね。

作り手はエラいのか?

じゃあ、作り手はエラいのかというと全然エラくないと思いますよ。
同じ人間ですし。
でも、奴隷じゃないし簡単に搾取されていい存在ではないと思います。

当方が発注者だったとき作り手の方でちょっとアレだなって思った事もあります。

作業者と窓口が違うとき希望した内容と異なる施工をされていたのを指摘すると「それじゃ納期に間に合わない」とキレ気味に言われた時、ソレはこちらに言うことじゃないだろって、こっちはそういう契約で合意してるんだからって。

ある案件で内容が複雑かつ細かかったので心配して「大丈夫ですか?」って聞いたら「出来ますよバカにしてるんですか?」的な半ギレされたのに結局出来なかったとか。
あれだけ確認したのにどうすればよかったんだよ!!とか

相手の社内都合で発生してこちらの利益が毀損されているのに謝罪もせず問題に関係のない技術的指摘をしてくる人とか。そういう事言ってるんじゃねーよ、本質を全く理解してない全部説明しないといけないのか?マジでか?わざとか?

酷いな作り手。

自分の胸に手を当ててみる

じゃあオマエはどうなんだ?というと少なくとも当方はエンジニアとして15年やっても「何でこんなにバカなんだ!!」とか、技術はすぐ廃れるし、分かっても分かっても終わりがなくって「何だこりゃ、ずっとコレかよ・・・」って。

相手先へ失言もあるし、間違いも、能力不足もあります。
的外れな要求だったと悔やむ事もあります。
恥ずかしい・・・撤回したい、やり直したいってめっちゃあります。
でもまぁ無理なものは無理ですし開き直るしかないです。

職人さんの心境はどんなだろう?

実際は沢山の人間がたくさんの案件で介在してる事が多いのでもっと複雑でしょうけど、モンスタークライアントに何度も会ったら人によっては「説明するのもう面倒くさい」「ハイハイもう勝手にして下さい」「言われたことだけやって帰りますよっと」って感じになるのも仕方ないなぁって思ったりします。

人は自分が聞きたい事しか聞かないですからね。

つまり筋交を切ったのも色んな背景があったのかもしれないという事です。

合板を貼る

話を戻して合板を貼ります。

この合板、貼る必要性は薄いと思いますがもう以前に加工してしまっていますのでシージングボードの上から貼っておきます。

【ダイニングキッチン】壁に防音対策#3 遮音シートとシージングボード 効果の程は?
ダイニングキッチン工事の中で当方のミスが原因で落としたくなかった土壁を落とす事になってしまい家の防音能力が低下しました。プラスアルファで盛り返したいので防音性能の復活および向上を目的として壁内を引き続き再構築中です。

時間が空き過ぎて下地の場所を忘れるほどでした。

次回天井下地仕上げます。

タイトルとURLをコピーしました