ここの壁は筋交いを切って付いていた窓を撤去して筋交い復活&追加、周囲も補強。
更に筋交いの隙間に300x700mmの縦すべり出し窓を新しく取り付けました。
そして真ん中に空気層を15~30mm設けてスタイロフォームとロックウールの2層の断熱材を詰めました。
今回は筋交いの隙間へ埋め込み型の造り付け収納をはじめて造ってみたいと思います。

前回はこちら。

埋め込み型の造り付け家具が欲しいんだ!!
この開口部に埋め込み型の収納が欲しくって、フィットする既製品を探すも(願わくば格安で某オークションとかに)都合のいい製品は見つかる筈もなく

こういう場所には作り付け家具を入れるようです。
造り付け家具とは
ところで、造り付け家具というのはどんな物なのでしょうか?
それは、元々部屋自体に建付けて、時には壁に埋め込んである基本的に収納を目的とした家具の事です。
サイズが違いますがこんなヤツです。

よくありますよね、こういうの。
どうやって造ってるのか?
こういうの具体的にどうやって造っているんでしょうか?
素人が片手間で造ったような仕上がりではなく、扉は光沢があったり棚板もどこかの工場で作った既製品ような綺麗な部材。
でも、あらゆる変則的な場所へ既製品の家具が納まるとは思えない。
例えば、クローゼットと呼べるような大きいタイプなら枠と扉が既製品で出てたりしますが、小さめの収納だったり対象スペースに合わなかったりすると自ずと造作になるのではという考えに至りましたが。
AIが気軽に教えてくれる時代になりましたので「どうやって造るのか?」を聞いてみると
セミオーダーは特にマンションで多く「造作用キット」や「システム部材」等を使ったタイプ等色々あるみたいです。
つまり、「既製品の部材を現場ごとに併せて造る」という事なようです。
なるほど。
費用対決 無垢材 VS システム部材
加工の難易度は一から造る家具と既製品とを比べると一から造る無垢材の方が価格も高額になるのでは?と思ってたら逆で、(ざっくり言って)システム部材の方が高くなるのだとか。
理由は材料が無垢材に比べて高いからのようで、なお特注品なら更に高額になるようです。
確かにシステム部材のが見た目は綺麗ですもんね。
また、大工仕事と家具作りの道具は似て非なる物らしく基本的に畑違いだとか。
自分でやるか
で、結局今回も本職の方へオーダーするのは気も使うし、検索すれば出てくるけど見ると。そもそも高額、遠方多数、分かんねえよ何処に頼めばいいとか。
オマケにたった1つの小さな家具を本職に発注するなんて費用対効果悪過ぎだと。
なので、今回も自分でやってみることにしました。
家具職人の道具は持っていませんがプロレベルの話ではないのでいいでしょう。
造る収納の出来上がりイメージはこんな感じ。
ちなみにこのような家具はウォールキャビネットとか呼称するようです。

右には既に付いた新規縦すべり出し窓。
で、左側に埋め込み型の造り付けウォールキャビネット。
無垢材とかで作ったら部屋のイメージにマッチしないし…白の化粧シート巻きのにしたいな。
素人が寝言いってるのか?
そんなの素人に出来るのか?というヤツなんですが
扉付きが無理なら最悪開口部を囲っただけの収納スペースでもいいかなと。
本当に無理なら諦めて壁にしますw
先ずはやってみよう。
安いホムセン品でイケるか?
あるホームセンターにあるキラキラした良さげなメラミンコーティングの材料がありまして…目を付けてました。
で、購入するつもりで商品説明を見ると
「この材料は国土交通省告示で規定されている居室で使用する内装仕上げ材として必要な証明書が発行でません」というような文言発見!!
どゆこと?
建材にできない材料だと?
AIに聞いたら建築基準法の間違った条項を告げられたけど、どうやら「家の内装に使用するための不燃・準不燃・難燃など条件を満たしていない材料(製品)」という注意書き。
つまり、私が手に取った製品は、動かせる家具を作るには適しているけど壁に埋め込み固定し、建物の一部となる家具には適していない模様。
いや、まぁ、DIYなんでそんなの無視してもいんんですけど、そこはちゃんとした方がいいのではと。
なお、建材に出来るメラミン板も当然あるようですが建材不許可の価格を下回るとは当然思えませんので単純に費用が高くなるだけであまり食指が動きません。
そんな訳で、もう少し方法を模索するかと文字通り一旦棚上げに。
イケそうな建材を発見!
そんなとき、某オークションで以下のような建材メーカー製のシステムボードや棚板が複数出品されていました。
コレ、イケるヤツだ。
- MDF(白) W:400xH:250xD:20mm = 2枚 ¥800
- MDF(白) W:300xH:685xD:20mm = 1枚 ¥800
- MDF(白) W:300xH:745xD:20mm = 3枚(白) ¥2,800
- MDF/ファルカタ(白) W:300xH:2000xD:21mm = 1枚¥2,000
合計:¥6,400
費用は(建材不許可な)ホームセンターのメラミン板の半額くらいで済んだと思います。
なお、此処で特筆すべき点は300x745mmの棚板3枚。
このうち1枚を「小口処理された扉にできる」と踏んで他の部材も漁り事前に頭の中のイメージで組み合わせると埋め込み収納として開口寸法に納まりそうだったので落札させて頂きました。

小口テープとか売っているので必ずしも切断面の小口に拘る必要は無さそうですが素人がプライマー塗って上手く小口処理できるとは思えませんでしたのでこのサイズは有り難い。
設計をしてみる
こういうのは設計図がちゃんとしれいれば出来るのでは?と思うんですね。
なので設計をしてみます。
プロの仕事をリバースエンジニアリング
「全ては模倣から始まる」ということで。
今回製作するウォールキャビネットの参考として今住んでいる住居にある造り付け家具構造を模倣するため観察してみます。

すると以下ような特徴が分かってきました。
納まり
- 扉面は周囲の壁面より1mm~2mm出ている※個体差あり、出ていない所もある
- 扉が閉まった状態で4方枠と周囲壁の隙間は(およそ)3mm
- 枠の奥行は縦枠より横枠の方が1mm(引っ込んで)短い
棚ダボ
棚板ダボ穴の縦ピッチは34mm
丁番(ヒンジ)
扉を全開放(90度)状態で丁番(ヒンジ)側の枠との隙間は10mmになる
固定方法
収納内側のビス留め跡には目隠し使用
その他
扉と枠の間は4隅にゴムのクッションが貼り付けられている
図面にしてみる
分かった特徴を考慮して今回のウォールキャビネットの図面へ落とし込んでみます。
先ず手書きでざっと引いて。


で、PC使って図面にしたのがコレ
色々と粗があると思いますが自分で見るには大丈夫なレベルです。

大体の完成イメージです。
なお、取っ手を持たなくとも楽に扉を開けられるよう上下に指が入る隙間を空けています。

材料カット図面
これが部材から切り出すカット図。

※左上の茶色いヤツは既に持っている部材です
※一番下の長いヤツは2000ではなく実際には1810mmでした
造り付け家具の実作業開始
実作業に入ります。
入手した部材を開封。
ちなみにコレ、メーカーに問い合わせたら特注品でした。
もしかしたら造り付け用に特注した棚板だったのかもしれない。

材料加工
カット図の寸法通り正確に加工していきます。
ミスると後がありません故、細心の注意を払っての加工です。

この木目の材料、元々以前落札した枠無しパナソニック製の扉です。
結局使えなかったのですが出窓の天板として役目を担い、残りも今から更に役に立ってもらいます。

化粧材ではなく収納の強度確保用の板になってもらいます。

仮組みして納まり確認
少し納まり幅に余裕が無いため壁の下地を切断して僅かに開口部を広げます。

で、寸法通りに切れた部材を差し込んでみます。

扉も付けてみて…
うーん何とかイケそう?

更なる出費
クランプは組み立て接着の時重要はツール。
既存の200mmで両側から引っ張って対応しようと思っていたんですがちょっと無理しすぎかと考え直してこの為に300mmまでイケるヤツを注文。
丁番は家具の部品、座掘りドリルも今のところ汎用性は低くこの用途オンリー。
- 300mmFクランプ:¥1,881
- スライド丁番 :¥327 x 2
- 座ぐりドリル35mm :¥1,109

チキショー…費用が嵩むなぁ…
単体で仮組み
クランプで留めて形を再現してみます。
イメージ通りではあります。

接合用ダボ
どうやら形にはなりそうなので材料どうしをくっつけていきたいと思います。
方法はすぐビス留めが思い浮かびますがMDF材にビスはあまり効かないし材料が持たない筈ですのでダボで接合していきます。
ダボというのは互いの材料に穴を空けて木の棒で接合する方法です。
このダボ接合は穴空け位置がズレると詰んでしまいます。
よって正確な位置への穴空けのためにガイドを購入です。
ダボ用マーカー351×2 ¥772

背面に補強用の板を付けるためのダボ穴を空けます。

で、仮でダボを挿してハンマーでコンコンと

組み立ててみました。
なお、中の細いヤツは上の内板を仮で支えるために差してる端材です。

【失敗】丁番(ヒンジ)
扉の丁番を取り付けます。

何となく出来た感があり油断してしまい、スミをせず穴あけてしまい上下で位置が少し違います。
なんてこった…
これが完成形
扉が付くとこんな感じになる筈。

出窓の耐荷重が心配になってきた
重さを測ってみたら
あぁぁぁ・・・18kgもあるぅ・・・
元の重量から35.3kgアップしたのに53.3kgに更新。
中に物いれたらこれヤバくね?
収納品を10kgとしたら63kg程アップかぁ~・・・男性1人分出窓に乗ってる感じ?
出窓がまた重くなるけど補強材の役割果たすからノーカンになる?

まぁこのまま行くしかありません。
【失敗】棚ダボの穴を空ける
棚ダボの穴を空けましたが、これは一部ピッチが不揃いで失敗しています。
もう仕方ないのでこのままいきます。

まぁ棚板の概ねはガタつきませんので多分…イケます…

失敗多い、集中力切れてきた…
裏の下地を組む
造り付け収納を納める場所の壁下地を組んでいきます。
先ず、間柱へ横胴縁

そして12mm構造用合板を張りました。

造り付け収納を本組み立て
造り付け家具にダボを本付けして完全に組み立てていきたいと思います。
ダボ穴へ木工用ボンドを注入してダボを差し込み

組み立てて、ボンドが乾くまで重しを載せて丸1日圧をかけておきます。

翌日、ボンドが乾燥、重しを取ります。

造り付け収納を嵌めてみる
お願い…歪んでないでくれ…
大丈夫だった!!

扉も仮付けして納まりを見てみます。
悪くないのかなぁ~

扉を開けてみる。
開閉は大丈夫っぽいです。

本当は壁側に丁番を付ける予定でしたが扉が壁に当たってしまうので逆側にしました。
納まり、オーバーする
壁面から2.5mm出ています。
12mm合板を当てて仮想的に納まりを確認していますので本当は石膏ボード12.5mm+クロス0.5mm程でプラス1mmとしても、設計よりも1~1.5mmオーバーです。

この原因はわかっています。
0.3mm厚の防湿防水シートを3次元的に張ったところ複数重なり1mm弱、更に壁下地が予定より1mm弱出ていたのでこうなりました。
まぁいいんですけどね…
ビス打ったら少し引っ込むかな?
あー難しい…
取り合えず終了
まだ留め付けていませんが一応できました。
扉は安全のため一旦取り外しておきました。

このウォールキャビネットを取り付けるには壁を仕上げねばなりません。